特定健康診査は、糖尿病等の生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的として、メタボリックシンドロームに着目し、生活習慣を改善するための特定保健指導を必要とする者を、的確に抽出するために行うものである。
特定健康診査等実施計画とは、高齢者の医療の確保に関する法律第19条により、医療保険者が、特定健康診査等基本指針(同法第18条)に即して、5年ごとに、5年を1期とし作成するよう定められているものである。
江府町国民健康保険は、第1期(平成20年度~平成24年度)の実施状況を踏まえ、ここに第2期の計画を定めるものとする。
日本では、高齢化の急速な進展や生活習慣病の増加等により、生活習慣病にかかる国民医療費は約3割、死亡割合は約6割を占めているという現状がある。国民の受療の実態を見ると、高齢期に向けて生活習慣病の外来受療率が徐々に増加し、次に75 歳頃を境にして生活習慣病を中心とした入院受療率が上昇している。これを個人に置き換えてみると、不適切な食生活や運動不足等の不健康な生活習慣がやがて糖尿病、高血圧症、脂質異常、肥満症等の発症を招き、外来通院及び投薬が始まり、生活習慣の改善がないままに、虚血性心疾患や脳血管疾患等の発症に至るという経過をたどることになる。
このため、生活習慣の改善による糖尿病等の生活習慣病の予防対策を進め、糖尿病等を予防することができれば、通院患者を減らすことができ、この結果、国民の生活の質の維持及び向上を図りながら医療費の伸びの抑制を実現することが可能となると考えられる。
特定健康診査・特定保健指導の対象となる生活習慣病は、メタボリックシンドローム(内蔵脂肪症候群)の該当者・予備群である。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満を共通の要因として、高血糖、脂質異常、高血圧を呈する病態のことである。
メタボリックシンドロームは、高血糖、脂質異常、高血圧のそれぞれが重複すると、動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管疾患等)の発症リスクが高まるが、内臓脂肪を減少させることによって、動脈硬化性疾患の発症リスクを低減させることができる。
つまり、内臓脂肪型肥満に起因する糖尿病、脂質異常症、高血圧症は予防可能であり、また、発症してしまった後でも、血糖、血圧等をコントロールすることにより、心筋梗塞等の心血管疾患、脳梗塞等の脳血管疾患、人工透析を必要とする腎不全などへの進展や重症化を予防することは可能である、という考え方を基本としたものである。